「インターネットでは人は物を買わない」と言われていた時代にインターネット・ショッピングモール「楽天市場」を立ち上げ、1997年にサービスを開始した楽天株式会社(旧:株式会社エム・ディー・エム)。現在ではインターネットサービスに限らず、プロスポーツ、金融サービス、モバイル等幅広く事業を拡大している。2015年には創業18年目を迎え、グループ年間流通総額が6兆円にせまる規模に成長している。日本を代表するIT企業の一つである。
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アカリクITイベント
【アカリクITイベント】
学生が事前に作成する自身のプログラミングスキルやアピールポイント、研究内容を記入した「プロフィールシート」をもとに、企業が会いたい学生を指名するスカウト形式のイベント。1企業対1学生制。参加企業は名刺交換の場で学生と直接会い、事前に配布されている「プロフィールシート」と人物の印象から会いたい学生を決める。その後学生が個々に座っているデスクを訪問し、学生から自身のプログラミングスキルや自作のプログラムなどの5分間のプレゼンテーションを受ける。その後は学生とフリートークとなり、自由に話を展開することが出来る。1ターム30分で、8~9タームの設定。会いたい学生がいれば最大16~18名まで話をすることが可能。
スカウト形式のイベントメインでの採用活動
ネパール人の社員からもらった ネパールマフラーを巻いた小山さん
エンジニア採用リーダーの小山さんと社員の松本さんにお話を伺いました。
――― これまでの採用の状況を教えてください。
小山: 楽天が本格的に新卒採用を始めたのは2005年新卒の頃からです。いわゆるインターネットバブル時代、IT業界は慢性的な人手不足の状態でした。2000年前後から各大学も情報関連学部の定員を拡充していきましたが、彼らが採用市場に出てくるにはまだ時間がかかったのです。また転職も今ほど一般的でなく、そもそもマーケットにエンジニアがいない状態で、多くの企業が入社後の育成によって技術者不足をまかなっておりましたが、戦力となるまでに時間がかかるのが課題でした。
そんな中、新卒でWeb業界を志す学生が増えてきたと感じた2009年度新卒から「開発職」採用を開始し、学生時代に専門的な知識と経験を身につけた、”素地”がある学生を採用しようということになりました。当時はエンジニア採用のノウハウがなく手探り状態で、大規模の就職イベントに出展し始めましたが、そういったイベントではブースに人が来ても営業職を志望している方ばかりでした。エンジニア志望の学生となかなか出会えず困っていたところ、アカリクさんに出会いました。
――― アカリクITイベントのご参加の感想をお教えください。
小山: 実際参加してみて「学生時代に一番頑張ったのは研究です」というような真面目な学生が多い印象でした。学生の本分は学業であり、そういう学生と楽天は相性がいいと思っているので非常に満足しました。それ以来アカリクITイベントはずっと参加させていただいています。
アカリクITイベントの良いところは私たちが必要としている方をスクリーニングして集めてくださるところです。集めてくださった母集団の質も非常に高いので、最近では現場のマネージャークラスの社員を連れて行き、選考プロセスの代わりにもしています。マス採用と比較して採用効率があがっているので、大変有り難いサービスだと思っています。
――― 他社の同形式のイベントと比較してアカリクのITイベントはいかがでしょうか。
小山: アカリクさんのイベント参加者には、アカデミック寄りで地頭のよい学生が多いです。楽天の場合入社基準にTOEICの点数がありますが、英語力についても他社イベントよりもグローバル志向の学生が多く相性がいいと感じています。
改善点があるとするなら、イベントの後の懇親会です。アカリクさんは伝統的にお菓子にジュースなので、ちょっと大人しめだと思っていました(笑)。今は少しお酒も出るようになってきていますが、少量ですと学生も遠慮してしまうので、もっと学生が気兼ねなく飲み食いして本音で交流できるのが理想ですね。後は、このスタイルのイベントを海外でも実施してみたい、という個人的な思いもあります。
――― アカリクITイベントの成果を教えてください。
小山: 例年応募者の2~3割は、アカリクさんのイベントで接触した方です(ITイベント以外も含む)。内定者の7割がアカリクさんのイベント参加者という年もありました。毎年コンスタントに採用につながっています。
――― 2012年12月のアカリクITイベントへのご参加で入社された松本さんはいかがですか?
小山: 非常に評価されています。松本さんの部署は楽天の中でも新しい技術を積極的に取り入れている部署の1つで、積極的に技術を学んでいく姿勢が求められます。現在はインターン生のメンターもやってもらっています。
楽天の少人数精鋭チームに所属する松本さん
――― 就職活動について教えてください。
松本: 東京大学の工学部で最初は土木系の研究室に所属していました。大学4年のときにWebサービスを作る勉強会に参加したんです。それがきっかけでIT業界に関心を持ち、そのままIT系の研究がしたくて大学院は情報系の研究室に入りました。就職活動に関してもIT系に絞っていました。
――― 大学院ではどんな研究をされていたのですか。
松本: 「モバイル機器搭載センサを統合した自己位置推定手法の開発 」というのが修士論文のタイトルです。iPhoneのGPS、感性センサ、地磁気センサ等のセンサと動画や画像を利用して、「iPhone自体がどんなときにどんな位置にあるのか」というiPhoneの自己位置推定の精度を上げる研究を行っていました。
――― アカリクITイベントはいかがでしたか?
松本: 全部で9回プレゼンテーションを行ったので、正直にいうと疲れました(笑) 。何度も企業の方相手に話していくうちに慣れてきて、そのおかげで話す”型”ができました。様々な角度でのアピール方法が身に付いたと思います。実際の面接で困ったときに、アカリクITイベントのときに話したネタを使えて、役に立ちました。
――― 楽天に入社を決めた理由を教えてください。
松本: 楽天に決めた一番の理由は、外国籍の方が在籍しているなど環境が面白そうだと思ったことです。プログラミングだけでなく英語のコミュニケーション、技術にとどまらず幅広くビジネスのことも学べるのも魅力的でした。また、楽天は”やり遂げなければならない精神”を”GET THINGS DONE”という言葉で大事にする風土があります。学部生のときに遊んでばかりいたので(笑)、自分を律せられる社風は合うな、と思いました。
――― 入社されて2年目ということですが、現在の業務内容を教えてください。
松本: 現在は「エンジニアゴルフサービス開発グループ」に所属し、「スモールインプルーブメントチーム」で、少人数・短期間で完成させられる案件の開発を行っています。チームは大きく分けて2つあります。楽天市場や楽天トラベルのような大規模開発を大人数で行うチームと、ゴルフ事業のようにスピード感を持って少人数で開発を行うチームです。実は2か月ほど前に、初めて案件を任されました。1か月くらいかかるだろうと予想されていた案件でしたが、早期に終わらせることができ、チーム内で月のMVPもいただくことができました。
――― 今後の展望と、現在就職活動中の学生に向けてメッセージをお願いいたします。
松本: 今後は、大きい案件の開発もできるようになっていきたいです。5年くらいたったらエンジニアリーダーになって、チームを技術的に引っ張っていきたいと思っています。現在のエンジニアリーダーが非常に尊敬できて、技術的にも博識で、色々教わることが多いので、そういう風になりたいです。それから、楽天はご飯がおいしいので(※社員は食堂の利用が無料)ずっとここで働きたいですね(笑)。
就職活動については、志望業界が絞れているなら具体的な成果を残しつつ進めることが大事だと思います。それで実際にどうしたら入れるかということを考えたら、何かアプリを作って、具体的な成果残さないと、と思いました。実際に作ったら、やっぱり面白いなと思えてモチベーションもあがりましたし。「じゃあどの会社に入りたいか」って話になったときは、アカリクさんを通して企業を知って、筋の通った就職活動を行えば、どこにでも入れるんじゃないかと思います。頑張ってください。
アカリクに今後期待すること
小山: 現在世間でもエンジニアのニーズが細分化されています。「ビックデータを専門でやっている人が欲しい」とか、「アンドロイドアプリを専門で作る人がほしい」とか、求められるニーズは年々細かくなってきています。そこに対して、ぜひアカリクさんが企業や時代のニーズを先取りをして学生に伝えていっていただきたいと思っています。年々エンジニアに向けたスカウト形式のイベントをやる会社も増えてきていて、他社との差別化が難しくなってきていると思いますが、そこは負けずに毎年新しいマーケットを開拓していっていただきたいです。
ただ、まだWeb業界の中で人を取り合う時代ではなく、対メーカーであったり対SIであったりという中でWebの存在を強くしていく時代だと思っています。そこで、各社の人事を束ねるくらいの気持ちで、Web業界の結束を強くするような仕組みをぜひ作っていっていただきたいな、というのがエンジニア採用のパイオニアとしてのアカリクさんに期待することですね。