変化する大学院生採用市場
2020年総括と2021年展望レポート

採用のオンライン化で地方大学院生との接点が急増、2021年は全国の企業が獲得競争に乗り出す

大学院生・研究者のキャリア支援を行っている株式会社アカリク(本社:東京都渋谷区、代表取締役:林 信長、以下 アカリク)は、2020年の大学院生採用市場の動向と2021年優秀人材獲得のために企業に求められる姿勢などについて言及した「変化する大学院生採用市場|2020年総括と2021年展望レポート」を発表いたします。

■2020年新型コロナウイルスが新卒採用市場に及ぼした影響

 2020年、新型コロナウイルスが新卒採用市場に大きな影響を及ぼしました。第一に挙げられるのはオンライン就活の定着化です。21年卒の学生は説明会から最終面接まで全てオンラインで完結した人も少なくありません。そして、企業はオンライン就活へのシフトを求められるとともに、コロナ禍による業績悪化や不透明な経済状況により採用予定数の検討を余儀なくされました。これらの影響により大学院生の採用市場にどのような変化が起きているのか、そして2021年、修士・博士の優秀層を獲得するためにどのような動きが企業に求められるのかを明らかにしたいと思います。

■約7割の企業は採用予定数の変更予定なし

 まず、企業の採用予定数の変化はどうなっているのでしょうか。2020年12月に東京都在住の経営者102名を対象に実施した調査では、24.6%が「新卒採用人数を縮小予定」と回答。しかしその一方で、67.6%は「新卒採用人数に変化はない」と回答しています。業種や業態による差はありますが、世間で考えられているほど新卒採用予定人数に変化は起きていないことが窺えます。実際に当社にご相談をいただいている人事担当者の中でも「一般職(もしくはビジネス職)は縮小しますが、エンジニアや研究職は従来通り、もしくは採用枠を増やす予定」と考えている方々が多い印象です。また、経営者が考える優秀人材の定義として「論理的思考力が高い」が78.4%と最も多く、約8割の経営者が「修士学生」の採用を希望しています。優秀層である大学院生の需要は依然として高く、22年卒の大学院生は採用予定数にかかわらず日頃の研究で培った論理的思考力を発揮することが求められています。

■多くの企業が学生との接点を求め「攻めの採用」へシフト

 一方、採用予定数に変化がない企業が多い中、企業の採用活動には変化が起きています。多くの企業に見られるのが学生との接点をもつために特定の人材に能動的にアプローチする「攻めの採用」へのシフトです。オフラインでのイベントなどが無い分、受け身の状態では学生との接点が得られなくなってしまったためです。例えば、インターンシップに注力する企業が増加しています。早期にインターンシップを行い優秀な学生と接点をもち、持続的に学生との関係を維持することで自社にマッチした人材獲得につなげているのです。 また、1DAYインターンは減少傾向にあり、中長期的なインターンを実施する企業やそこで接点を持った学生に対してアルバイトなどの提案をする企業も増えています。

■大学院生の就職活動が早期化、注目すべきは「地方学生の台頭」

 一方で、大学院生の就職活動の動き出しも早くなっています。実際にアカリクの登録者数を前年と比較すると、9月時点で前年の10月の登録者数に達するなど、前年の数字に1ヶ月早く達しています。この学生の就職活動の早期化には、例年は大学院での研究が忙しくなかなか就職活動に本腰を入れることのできなかった学生が、学校の閉鎖などにより前期の時点で就職活動に臨めたことなどがあります。また、研究室閉鎖により周りとの意思疎通が取れない不安から焦りを感じた学生の心理的状況や、優秀な人材の青田買いに近い状況、つまり”他社にとられる前に動きたい”という企業側の思惑により、就活イベントも1か月ほど前倒しの傾向が見られたことなどが背景にあるでしょう。

 特に就職活動の早期化や活発さが見られるのが地方大学院生です。就活のオンライン化に伴い、長距離の移動をせずに面接や説明会への参加が可能になり企業選びの幅が大きく広がりました。これは企業にとっても嬉しい変化です。例年「地方の優秀な学生とも接点を持ちたい」という声は多くありました。しかし、大半の企業は慣習的な採用活動様式に囚われ、説明会の時点から企業への訪問を要求していたため、地方学生との接点を得ることができていませんでした。そんな中、半強制的に採用活動がオンラインへとシフトしたことによって地方学生との接点が増え長年の課題が解決される結果となりました。オンラインでの説明会や選考は学生・企業双方にメリットがあり、新型コロナウイルス収束後も継続していくことが予想されます。

■オンライン採用への対応力が学生の選社軸に影響

 また、実はオンライン採用を導入することは地方学生に限らず、優秀人材を獲得するために不可欠なものだと言えます。2020年4月にアカリク会員である21年卒の大学院生206名を対象に実施した調査にて「オンライン採用を実施している企業へのイメージ」を聞いたところ、68.4%の大学院生が「リモートワークなどの柔軟な働き方ができる」、45.1%が「イノベーティブ(革新的)である」と回答しており、多くの学生がオンライン採用を導入している企業に好印象を抱いていることがわかります。さらに同調査では「オンラインでの採用を行っているかどうかが志望度に影響することはありますか」という質問に対し、約8割の学生が「志望度に影響する」と回答しています。オンライン採用への対応力や柔軟性によってその会社がどんな会社であるかを判断する学生が多いようです。逆にオンラインへの臨機応変な対応が取れない会社は「堅苦しい」「融通がきかない」などの悪印象を持たれてしまう可能性があります。



■2021年、企業に求められる姿勢は「能動的な攻めの採用」と「臨機応変なオンライン採用」

 2020年の採用市場において、「企業の攻めの採用へのシフト」「大学院生の就活の早期化」「地方学生の台頭」「オンライン就活がニューノーマルへ」という4つの変化が起こりました。以上のことを踏まえると2021年は、①新型コロナの影響に関わらず臨機応変にオンラインを導入すること、②能動的に学生との接点をもつ攻めの採用を継続すること、の2点が企業が優秀な人材を獲得するために不可欠となります。臨機応変なオンライン導入や採用活動の柔軟性が学生の選社軸に大きな影響を及ぼします。さらに、念願だった地方学生との接点を失わないためにもオンライン採用の継続は非常に重要です。そして、多くの企業の情報があふれている中で優秀な人材を獲得するためには、学生との接点の絶対量を増やすことが求められます。オンラインを活用した上で、「攻めの採用」を継続することで、より多くの自社にマッチした人材を獲得することができるでしょう。


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